2026年4月5日日曜日

半径5メートルの世界史読了

はい、今回も動画主の著書ですね。

ざっくりレビュー
全6章(ガラス/セラミック/紙、書物/織物/木/時計)のお話。
主に、発祥、需要(利用方法)、供給、物流の話を古いものから現代まで順序立てて並べています。実はほとんどの内容が動画で触れられているテーマなので、本書はその深堀り版であり、動画を観てからこちらを読む事を強く推奨します(理由は後述)。
ファンタジーな漫画やアニメの「なんちゃって中世」にあたりまえのように登場する(時計以外)前述6章の素材ですが言われてみればそうだなという発見が多い本です。
又、この本もユーラシア大陸中心でありその他大陸は軽く触れる程度となっています。

ちょっとまずいと思った点
私が秋葉原の書泉で購入した本書は第一刷だったのですが、動画で告知されていた通り一部写真の画像が荒かったりします…が、コレは標本の写真が主で図などでは無い為「一部」のものであり、画が荒いといっても致命的ではありません。

  • むしろそれより困ったのは圧倒的に地図が足りないと言う点
物流の話が多く出て来るのですが、それがどこの事を示しているのか判らない。しかも有史から現代までなので国名すら現代と違う。
バビロニアって何処だよ?とか(そしてそれが現在のイラクらへんと言われても、最近のイラン戦争でようやくイランの西と解った程度でかなり曖昧という)。
ここら辺は前述の通り動画で紹介された際に地図が出ているのでそちらを観てからこの本を読むか、世界地図に古代の地名を書き込みながら読むのが良いかもしれません。

面白いと思った話:紙、書物
歴史の話をする上で、「当時最先端の文明を持っていた」と紹介される国が時々ありますがこれはとっても納得できる内容でした。よく言う、古代は中国が文明の最先端で、近世以降は西洋に移ったという奴ですがこの章を読むとなるほどなと。

中国(というか明)が1世紀に現代日本で言う和紙のような「すき紙」の大量生産を発明したのに対して、中世の少し前辺りまで西洋では葉の繊維を叩いて延ばしたパピルスや、動物の皮で作った羊皮紙を使っていた。
生産性が圧倒的に違ったので、中国の方が多くの書類が出回る→情報や技術が正確に大量に出回ったというもの(なぜ西洋が中国から紙の製法を積極的に受け入れなかったのかは本書を読むべし)。
そして、西洋が逆転したのは活版印刷の登場以後で、実は中国の方が400年早く活版印刷を発明していたものの、数十万文字も活字(1文字分のハンコの様な物)を用意しないといけない漢字語圏に対して、30文字前後の活字を用意すれば事足りるアルファベット系の方が圧倒的に有利で書物の大量生産が出来た為。

コレは1990年代から2000年代に言われた、インターネットに触れられる人とそうでない人の情報格差「デジタルディバイド」の古代版と中世版という事になりそうです。
歴史は繰り返すという奴でしょうか、デジタルディバイドについて「たかがネットが見れないくらい」と言っていた人も居ましたが、案外甘く見てはいけない代物です。
私が生きている内にネットの発展のような情報革命が再度起きるかは解りませんが、乗り遅れって怖いなと思いました。

面白いと思った話:木
優れた建材、道具を作る資材でありながら、石炭が見つかるまで燃料の主力であった木。古代から都市は森林の近くにつくられ、古代エジプト等森が伐採されつくした為に滅んだと言われる都市は数知れず、中世以降は日本を含め為政者が伐採を管理したと言われますが…

  • 面白かったのがイギリスの大英帝国
他国をリードして艦隊でハンマー外交をしていたイギリスだったが肝心な軍艦(帆船)のマストになる巨大な木材が国内に無い。
発展の代償として自国の森林を伐採し過ぎて十分に成長した木が無くなっていた。
そこで属州アメリカの手つかずの森林から巨大木材を入手しようとするが…というお話。

巨大木材はご想像通り、山に生えている訳でコレを港まで輸送するのはコスト面でも大赤字。地元アメリカの伐採業者は細かく切り分けて運び、堅実に商売をしたかったのだが当然英国は拒否。
で、アメリカと英国の間で軋轢が起こり…

その後起こったのがアメリカ独立戦争
当然、他にもいろいろ理由はあるのでしょうけど、そりゃあ折り合いつかないよねと。
ちなみにアメリカの独立に対してイギリスのライバル国のフランスがアメリカ側を支援。アメリカはマスト用の木材をフランスへ輸送したのだとか…やればできるのかよ。

戦争は後世、○○という正義があって行われた~と書かれがちですが、大抵は経済的な事情で起こります。又、25年秋の出版ですが宗教の違いも常にいがみ合っている訳では無いと巻末に書かれています(しかも例に出ているのはキリスト教とイスラム教)。

  • 要は商売上の折り合いを付ければ世は太平という事です(個人の感想です)
現在あちらこちらで戦争が起きてます。キャッチーな動画や陰謀論等が出回ったりもしていますが「何の商売で軋轢が起こったのか?」を考えれば落としどころが見えてきそうだなと思いました。

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