2026年4月28日火曜日

私がビーバーになる時を観てきました

主人公が環境活動家のディズニー映画という、近年あっち方面の人々におもねる事が多かったディズニーが随分エッジの利いた題材を扱ったぞという評判を聞いて観てきたのですが…

評論はあちこちでありますが、ざっくりとあらすじ
主人公はダメな感じの環境活動家…というか、一歩間違えたら自然派環境テロになりそうな19歳。ちなみに仲間は無くボッチ。
まともに話せるのは(自然保護官らしい)祖母のみという幼少期を過ごす…
ちなみにこの婆様は落ち着いて自然に耳を傾ける事を教えていただけで過激派になるような思想教育はしていない…つまりヒロインは単独で自然発生した環境過激派エリート(両親や周りの教師は当然行動を咎めていたが、音が遠ざかるエフェクトがかけられており自発的に耳を遠ざけていたと思われる)。

なんやかんやあってタイトル通りヒロインがビーバーになって、婆様との思い出の森を潰して道路を建設しようとする工事を妨害するが…

…普通に考えたら、この後の展開はヒロインが森の動物を率いて人間に逆襲する話なんですけどね。
本作の主人公の相方、哺乳類の王キング・ジョージは融和を大切にする思慮深いビーバーなんですが、野生動物なんでつかまったら食われるというルールを当然としています。
そんな彼らに工事の妨害を主人公が提案すれば出て来る解決策は…

主人公が近視眼的になって周りが見えなくなる描写や、先述した周りの声が遠ざかる描写が多々あり普通に病気かもしれないと思う所もありますが、「人間的なお花畑な解決をする」と思って動物達を焚きつけて失敗したり、都合が悪くなって反射的に虫の女王を殺してしまったりと、環境過激派ってこういう感じよねという描写があったりします。

…全く良い所が無いヒロインに見えますが、この娘、最後は人の話を聞けるくらいには成長するんですよ…19歳になってやっとですが。
彼女を導いたキング・ジョージは本当に良い王様だと思いました。

キャラクター
  • 婆様
ヒロインはメイベル・タナカでピクサー初の日系ヒロイン。メイベルの婆様も日系人で2~3世辺りの設定だそうな。インタビュー記事によれば「訛りの無い英語を話すアジア系」というのが一つの特徴だそうですが、そこは吹き替え版だったのでなんとも。見た目落ち着いた女性で…映画を見ている間中「毒気を完全に抜いた安達政子」に見えてました。欧米人から見た、落ち着いて超然とした日本の老女というとああいった感じがステレオタイプなんですかね?

  • ヒロイン
なんというか、日本人から見たら割と違和感がある人物。…まあ日系5~6世ですし、日本人としてのアイデンティティはほぼ無いのでしょう。
アメリカ人が見ても引くレベルの押しの強さ。あと、顔つきは日本人というよりピクサー系アジア人といった感じ…まあデフォルメされているよね。
あと、左手首に巻いている包帯。後半のあるシーンで必要になる重要なアイコンではあるのだけど、怪我とかしていたっけ?とはなりました。

  • ジェリー市長
前半のヴィラン…と思いきや、この話に純粋なヴィランは居ない。
市長の悪事の象徴のように描かれている人工樹だけれど現実問題で例えば日本でクマ避けに設置された場合批判は来ない…と言うより、有刺鉄線等を設置するより穏当だと思う人間の方が多いと思われます。
あと、見た目が微妙に元日本首相に似ていたりします。

  • タイタス
後半のヴィラン…だけど、かなり気の毒なキャラ。彼らの「森のルール」は弱肉強食で捕まったら食われる事に不満は言わない。が、作中唯一「殺す為に殺された」のが彼の母親、先代の虫の女王。しかも突発的にヒロインに叩き潰される。そりゃあキレるのも無理はない。
又、その後に人間に対して「虫を殺したものは居るか?」と問いかけている点から考えても理不尽を感じている模様。
タイタスが他の動物達と敵対する原因になったのは「虫たちばかり食われて不公平だから、人間と共に他の生き物を皆殺し」にしようとした為ですが、後半はともかく前半はいくら森のルールとは言え底辺捕食者としては思う所があったのでしょう。

  • キング・ジョージ
おっさんビーバーですが正に賢王。ただ、弱肉強食の動物たちの世界にあって、哺乳類以外の王達も含めて決して最強の頂点捕食者では無いのですよ。世襲したのはタイタスくらいで他の王も(ジョージは世襲だと説明していますが)人望で選ばれている気はします。ありがちな人間を拒絶する動物の主では無く「彼らはクールだ」と人間を許容するし、棲み分けもするし、ちゃんと周りの動物も従ってます。
擬人化されたおっさん姿でヒロインを導くシーンも良いですが、壊れたロボを引っ張っていくシーンが一番印象に残りましたね。

お話
78分の短い時間の中によくぞこれ程のシーンを詰め込んだなというレベルで展開が早い。
ただし、主人公を一人に絞って進めているので話は飲み込みやすい。あと、主人公が解りやすい問題児なので周りのキャラクターがどう考えているのかが理解しやすい。
結果、シーンに集中しやすいのでとても観やすい。なんなら動物たちがおもしろかわいいって点だけを観ていても良い。
※というか、映画館にはカップルで来ていた1名以外男性は自分しか居ませんでした…ただのディズニー動物映画と思われていたのでしょうか

ネタバレになるのですが、最後はおばあちゃんの形見の上着を焼失し、動物達と対話できた通信機が群衆に踏みつぶされてしまいます。
思い出とファンタジーから離されて現実に戻るというプロット。
その後ヒロインが「まともな」大人になったか?は大きな疑問符が付きましたが、良い印象の終り方でした。

最後にサム博士(ヒロインの大学の教授)が次の研究が~と話してますし、ヒロインもココで働くと言っています。
映画もそれなりにヒットしているそうなので、続編は作る気なんじゃないかと思いますが…ヒロインのその後は暫く観客の想像に委ねた方が良いのでは?とは思いました。

一言でまとめるならヒロインが48時間で大人になる(?)話でした。

蛇足
この映画、近年のディズニーの残念映画ウィッシュと比較される事があるのですが…
私はそっちは観た事が無いのでなんとも言えないのですが、私が思い出したのは「ハッピーフィート」。
歌って踊る娯楽ペンギンアニメのハズが途中から唐突に環境問題映画になるというお話。製作途中でスポンサーが変わったと言う噂は聞きましたが…調べてみたら2007年の作で、映画業界がおかしくなり始めた黎明期とおかしいと気付き始めた映画という感じで対照的だなと思いました。

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